剥離(ハクリ)洗浄作業をご紹介!!
剥離(ハクリ)洗浄は、剥離剤を使用して古いワックス塗膜を完全に除去し、床材を素材の状態に戻し、もう一度新しいワックス層を作る作業です。
床面をほぼ新品の状態に回復するので見栄えがよく、計画的に行うメンテナンスです。
通常の床面洗浄にくらべ手間がかかり、安全管理にも十分気を配必要があります。
作 業 名 | 作 業 方 法 | 道 具 | ||||||||
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1.物品の移動・安全管理
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洗浄する場所に邪魔になる物品がある場合、作業範囲の外に移動するか動かさない机などの上に乗せておく。 剥離剤を塗布すると、既存ワックス面が浮き、床面が非常に滑りやすくなる。 清掃場所に人の出入りがある場合には、作業表示板を置く他、進入禁止のロープを張るなど一般人の立入りを厳重に禁止するようにする。(剥離作業による転倒事故が事例として最も多い。) また、剥離作業中の清掃道具類は館内に放置すると剥離剤による跡がつく場合があるので、養生シートを使うなどして道具の管理にはこまめに注意を払うようにする。
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●作業表示板![]() ●立入禁止ロープ ![]() ●養生シート ![]() |
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2.床のゴミ・チリ取り
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床面に多量のホコリやチリが堆積している場合やゴミがある場合は、ホウキやダストクロスモップ(乾式モップ)を使用してあらかじめ回収しておく。 特に洗浄に支障がなければ、この工程は省略する場合が多い。 |
●ホウキ![]() ●ダストクロスモップ(乾式モップ) ![]() ●チリトリ ![]() ●ゴミ袋 ![]() |
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3.剥離剤調合及び塗布
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バケツに水を汲み、剥離剤の調合を行う。 分量が判らないない場合は計量カップを使用する。
![]() 使用希釈倍率:5~11倍 ●高濃度樹脂ワックスを剥離する場合は、 5倍程度に希釈 ●通常のワックス剥離の場合は、 6倍~11倍に希釈 ※濃度が高いほど簡単に剥離できるということはありません。 剥離剤は床面に塗布後、ある程度の時間を置くため、通常はタンク付ポリッシャーによる自動供給は行わない。 剥離剤塗布専用のモップにより床面に均一に塗布し5分~10分程時間を置く。(床面が乾かない程度に塗る) 剥離剤を塗布し時間を置くと、樹脂ワックスの分子である金属と樹脂の強靭な結合が溶解し、ドロドロの状態に分離していく。 剥離剤の液状はアルカリ性であり、人の皮膚に悪影響を及ぼすので、ゴム手袋を着用して作業するようにする。 また、大変滑りやすいので作業員自身の転倒事故にも十分に注意を払う。 (作業中はゴム長靴を着用)
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●剥離剤![]() ●バケツ(剥離剤調合用) ![]() ●計量カップ ![]() ●モップ(剥離剤塗布用) ![]() ●ゴム手袋 ![]() ●ゴム長靴 ![]() |
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4.ポリッシャー洗浄
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ポリッシャーはパッドとパッド台を装着し操作する。 パッドは剥離用の目の粗いパッド(黒パッド又は茶パッド)を使用する。 清掃場所から電源が遠い場合は延長コードの用意も忘れてはならない。 剥離剤の飛散に注意を要する現場では飛散防止カバーをポリッシャーに装着して使用する場合もある。 (扉や什器に剥離剤がかかると取れないシミになってしまうことがあるでの注意) ポリッシャーの基本操作は、まず清掃場所の縁に沿って回していき、奥から出口に向かって後退しながら操作する。(左右に移動しながら後退) 回転部分にコードが巻きつかないようにコードさばきを行い、壁や物品への衝突に注意する。 剥離したワックスがパッドの目に詰まり、洗浄効果が上がらない場合があるので、パッドの目が詰まっていたら水などで洗い流す。 ポリッシャーの操作終了後はパッドの付いたまま床面に放置しないで場外に移動する。 (館内の場合は養生シートの上に置く。)
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●ポリッシャー![]() ●パッド台・パッド(黒) ![]() ●延長コード ![]() |
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5.細部の汚れ落とし
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ポリッシャーによる洗浄では届かない部屋の隅や巾木などは手作業により汚れ(既存ワックス)を落とす。 道具はハンドパッドやスクレイパーを使い、床に付いた固着物をこそぎ落とす。(床材の素材以外の一切のものを除去) 既存ワックス面が厚く、高濃度ワックスの除去の場合にポリシャー洗浄だけではなかなか落としきれない箇所もでてくるので、これらの道具を使って完全に落とし切るようにする。
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●ハンドパッド(柄つき)![]() ●スクレイパー(皮すき) ![]() ●タオル ![]() ●ドライバー(ノミ) ![]() |
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6.汚水回収
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ポリッシャー洗浄後の汚水の回収は、湿式掃除機(吸水バキューム)を使う場合と、フロアースクイジー(かっぱき)で汚水を集めて、水取り(鉄道チリトリや文化チリトリで代替)で回収し、汚水回収用のバケツに集める方法がある。 広い作業現場の場合、バケツにキャリアー(バケツ缶キャリー)を付けて作業すると効率がよい。
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●吸水バキューム![]() ●フロアースクイジー ![]() ●水取り(チリトリ) ![]() ●缶バケツ(汚水回収用) ![]() ●バケツ缶キャリー ![]() |
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7.すすぎ・洗浄
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汚水を回収した後でも床面には強いアルカリ性の剥離剤が残っている。 これらの剥離剤をすすぎ落とす洗浄を行う。リンス処理が必要な剥離剤を使用する場合には、中和剤を使用して床面の残液のアルカリ性を中性にする作業も加わる。 最近の剥離剤は低臭でノンリンスタイプのものが主流で、剥離後のすすぎ洗浄の手間が大幅に低減されている。 通常の作業法では、タンク付ポリッシャーのタンクに水を入れ、水で床面を2回程すすぎ洗浄していくが、水の代わりに薄めに希釈した洗剤を入れて洗浄を行うと、よりキレイに仕上がる。 洗剤洗浄時には、ポリッシャーのパッドは「緑パッド」を使用し、洗剤濃度は100倍程度とする。(ジョンソンフォワード使用の場合) ※詳細は「床面洗浄作業」を参照
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●パッド(緑)![]() ●洗剤 ![]() |
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8.汚水回収
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6.の要領ですすぎ、洗浄後の汚水を回収する。 | 同6 | ||||||||
9.モップ水拭き・乾燥
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剥離洗浄、すすぎ洗浄による汚水の取り残しや床面に残った洗剤分を除去するために、モップによる水拭き作業を行う。 基本的に水拭き作業の工程を2回程行う。 部屋の角や隅の部分のモップは手を使うか、タオルによる水拭きとする。(隅には汚れが集まりやすいので丁寧に) 尚、モップは水拭き専用とし、剥離剤塗布用やワックス塗布用と併用しない。 モップを洗う場合は、現場の設備にもよるがバケツに水を汲み洗うか、モップ絞り器を使用したりする。
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●モップ(水拭き用)![]() ●タオル ![]() ●バケツ(モップ洗い用) ![]() ●モップ絞り器 ![]() ●送風機 ![]() |
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10.ワックス塗布・乾燥
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床面がよく乾燥したのを確認し、奥から出口の方向に後退しながらワックス塗布を行う。 ワックス(正確にはフロアポリッシュ)には用途に応じた様々な種類があり、油性・乳化性・水性のポリッシュに大きく分類される。 現在の床材に対して主流となっているのは、水性ポリッシュの種類にあたる「水性ワックス」と「樹脂ワックス」である。 「水性ワックス」(バフ型ワックス)及び「半樹脂ワックス」は、ゴム系床材やリノリウムなどの多孔質の床材、アスファルト系床材などに使用する場合があるが、ケースは比較的少ない。 最も多くの床材に対応するのが「樹脂ワックス」で、耐久性があり優れた光沢を有する。 幅広い床材に対して対応し美観・光沢の維持に効果を発揮するが、皮膜の除去には再度「剥離剤」を使用することになる。 塗布は基本的には格子塗り(縦塗りと横塗りを双方行う)による。 剥離清掃後は床材の素の状態なので、ワックス塗布の工程を基本的には3回程度行う。 工程の回数は仕様や床面の状況により変わるが、部屋の隅の厚塗りは避け、巾木には塗布しないようにする。 ワックスはボトルにて持ち運び、「かすれ」に注意して塗布の厚さを調整しながらモップにワックスを染み込ませる。 尚、広い面積の現場などでは、フラッシュモップ(フロアーモップなどとも言い、細かいパイルの毛にワックスを染み込ませるヘッドが四角い形状)などを使用すると効率がよい。 ワックス塗布後は、送風機などを使用して床面の乾燥を行う。 |
●ワックス(樹脂ワックス)![]() ●ワックス容器(ボトル) ![]() ●モップ(ワックス用) ![]() ●フラッシュモップ(ワックス用) ![]() ●送風機 ![]() |
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11.物品の復旧・チェック
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ワックス塗布後の乾燥を確認し、始めに移動した物品がある場合には元の位置に戻す。 洗浄やワックスの塗布状態をチェックし、汚れがあればタオルで拭きながらチェックするようにする。 特にワックスが乾かないうちに足跡をつけないよう注意し、ワックスのかすれや塗りムラがある場合があるので、ワックスモップを持参してチェックを行うようにする。
●剥離洗浄実施前(手前)と後(奥)
(左側)剥離前 (右側)剥離後
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●タオル![]() ●ワックスモップ ![]() |
■コンピューター電算室などに使用されている二重床(フリーアクセスフロアー)の剥離洗浄の場合、床下に電気配線等があり、多量の水を使用しての作業ができない場合があります。そのような床の洗浄作業の際は、剥離剤の塗布は必要最小限とし、モップによる汚水回収とすすぎ・水拭きを行う作業法となります。(ワックスは帯電防止ワックスを使用)
■清掃作業紹介は通常の清掃技術を紹介しております。作業現場の特殊性により清掃方法が変わって参ります。